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「私も使ってください。彼らは、この建物に魔力吸引結界を張ったのです。これを破らないと、私たちは魔法を使えません」
「なるほどな。それが、俺の魔法を疎外していたのだろう。君を検知できなかったのは、そういうことか」
ローランは抱きしめていたエミーリアを解放すると、第五部隊に連絡をいれた。
エミーリアもトレイシーに連絡をする。連絡方法は、転移魔法の基礎である物質移動魔法によるものだ。
すぐに現場に駆け付けたのは、第五部隊である。トラフィムは建物を取り囲むように魔法騎士たちを配置した。
「エミーか? だからか……」
ローランは、アルフォンスに予備の騎士服を持ってくるようにと指示を出していた。
「エミーリア。とりあえず、これを着なさい」
エミーリアが受け取ったのは、第五部隊の褐色の騎士服だ。
「ですが……」
エミーリアは魔法騎士ではない。騎士服に袖を通す資格がないのだ。
「一番小さいサイズだから、エミーでも着れるはずだ。それに、その格好のほうが動きにくいだろう? この状況だ。エミーにも動いてもらう。これは、第五部隊としての命令だからな」
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