第八章

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 アルフォンスが背を見せたのは、その隙に着替えろという意味だろう。エミーリアは羽織っていた上着をローランに返すと、素早く騎士服を身に着けた。 「似合っているな」  ローランの言葉にアルフォンスも振り返る。 「まったく。団長とエミーで揃って潜入調査ですか? 団長のその格好も、鉱夫そのものではないですか。二人して何をやっているのかわかりませんが」  そこでアルフォンスは建物を見上げた。 「この状況はよろしくないですね」 「お兄様、わかりますか? 魔力吸引結界が張られているのです」 「なるほど。だから、こんな変な感じがするのか。となれば、まずは結界を破る必要があるな」 「トラフィムのもとに向かおう」  アルフォンスの後ろをローランとエミーリアがついていく。  建物の周囲には一定間隔で魔法騎士が並び、彼らはじっと建物を見据えていた。中の様子を探ると同時に、突入の機会をうかがっている。 「トラフィム」 「団長、と?」 「エミーリア・グロセです」  それだけでトラフィムには察するものがあったらしい。  ローランがトラフィムだけは、すべての事実を知っていると言っていたからそのせいだろう。
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