第八章

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「魔力吸引結界は、結界を張るために柱となる場所を四カ所築いているはずだ。その一か所でも崩せば、結界は破られる」  ローランの説明に、三人は頷く。 「問題はその柱がどこにあるかだが。俺の魔力でもそれの検知ができない。建物内部にあるからか、吸引結界の力が強すぎて疎外されているからか……」  ローランの魔力を持っても検知できないというのであれば、トラフィムやアルフォンスでは絶対に無理だ。となれば、とにかく手当たり次第に探さなければならない。だが、そんな悠長なことを言っている場合でもない。 「お兄様、これを……」 「エミー」  エミーリアは魔封じの腕輪を外そうと手をかけたが、その手をアルフォンスが掴んだ。 「お兄様。あの人たちは魔石を人間に摂取させて、魔獣のように仕立てようとしているんです。それを黙って見ているなんてできません」 「なにもお前がやらなくても、俺たちが……」 「ですが。ローラン様でも無理だとおっしゃった。一分でも一秒でも早く、みんなを助けたいのに。こうやって解決方法を考えているだけでは、みんなを助けることなどできません。できる人が動くべきだと思うのです」
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