第八章

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「お兄様。この建物内の見取り図を」  第五部隊では、マヤン全体の地図や、建物の見取り図などを資料として保管している。その中から、アルフォンスはこの娼館の見取り図を持ってきていた。それを広げると、手にしていた魔導灯の光を地図に当てる。 「おそらく、柱は、ここの四カ所です」 「破壊できるとしたら、この場所か?」  ローランが一か所を示す。そこは彼らが集められている特別室からも、入口からも最も遠い場所。 「見張りはこことここにいます。ですから、その場所であれば」 「どうやって中に入る? 堂々と表からはいけないだろう?」  アルフォンスの指摘はもっともである。  だが、エミーリアには考えがあった。きっとローランも同じ考えだ。 「通気口を使います。私なら、そこを通ることができますから」  目的の場所に通じる通気口を地図から探り当てる。 「できれば、上からのほうがいいだろう。柱の場所にだって見張りがいる可能性はあるからな」  ローランが示した一か所の通気口。それは目の前に繋がっていた。 「私が結界を破ったら、すぐに突入してください。私も結界がなくなったらすぐに魔法で彼らを取り押さえます」
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