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たったそれだけの言葉であるのに、リーダーの男はすべてを悟ったようだ。
「お前か」
男の手には魔導銃がある。もちろん、その先端はエミーリアに向けられていた。
エミーリアは鋭く魔導銃を睨みつける。男が引き金を引くより先に、魔導銃がカタンと音を立てて男の手から離れた。
「なっ……」
エミーリアの魔法が目の前の男たちの自由を奪っていく。縛られたわけでもないのに、目に見えぬ縄で拘束されたかのように、彼らは四肢を硬直させた。
(すごい……。私には、これだけの魔法が使えたんだ)
事故以降、自分の意思で魔法を使うのは禁じられていた。家族に魔力を与え、あとは授業で必要な魔法を使うときのみだった。
自分の意思で動いたのは、ローランへ魔力を与え交感し合った、あのときが初めてかもしれない。
「くっ……、うぅ……」
自由を奪われた男たちは、苦しそうに顔を歪めてエミーリアを凝視する。だが、エミーリアは彼らを抑えている力を緩める気はない。
バタバタと複数の足音が近づいてきた。
最初に駆けつけてきたのは、アルフォンスである。
「よくやった。あとは俺たちが引き受ける」
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