488人が本棚に入れています
本棚に追加
「お腹は空いておりませんか? 朝食を準備したほうがよろしいでしょうか?」
ローランのこめかみがひくっと動いた。
「昨日は、あちらの部屋にお泊りだったのでは? シーツも取り換えておきます。そちらも私の仕事で間違いありませんよね?」
「ああ、頼む……」
「承知しました。我々補佐事務官は、主が業務を進めやすいようにサポートするのが仕事ですので、不都合な点がありましたらなんなりとお申し付けください」
「ちょっと待て」
ローランは机の中から銀色のプレートを取り出した。
「これは、君が俺の代理で動いているという証だ。これをつけて食堂にいきなさい。今までの補佐事務官にこれを渡したことはない。どうせ、彼らはすぐに辞めていくからな」
ネックレスのように鎖につけたものを渡されたので、エミーリアはそれを首にかけた。その後、隣室で手早くシーツを取り換えてから食堂へと向かった。
食堂は王城で働く者たちの食を提供する場である。そのため、王城関係者であれば自由に利用できる。
適当にパンと果物を見繕って、籠にいれた。
彼女の首元にはローランからもらった、彼の代理を証明する銀のプレートが輝いている。
最初のコメントを投稿しよう!