第二章

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「団長はね、あなたのことを認めたの。だから、それを渡したのよ。みんな、銀プレの意味を知ってるから、そうやって目立つところにつけておくと、注目を浴びてしまうのよ。だから、つけるときはこうしておきなさい」 「ありがとうございます、お姉様」 「あなたが団長にいじめられていなくてよかったわ。あなたの団長補佐事務官の話を聞いたときは、事務官長に抗議してやろうかと思ったんだけど、お父様に止められたのよ。エミーが困っているなら別だけれど、本人が何もしていないのに出しゃばるような真似をしてはいけないって」 「ベニシュ団長にはよくしてもらってます」 「そう、よかったわ」  フリージアはエミーリアの襟元を整えた。 「何かあったら、私に言うのよ」 「はい、ありがとうございます」  その言葉を聞いたフリージアは満足そうに微笑むと、手をひらひらと振ってその場を離れた。  エミーリアは右腕にかけていた籠をしっかりと持ち直すと、騎士館へと足を向ける。首にかけられた銀プレートが、先ほどよりも重く感じた。
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