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家族そろって朝食の場につけないことを父親は残念そうにしていたが、エミーリアが団長補佐事務官であるのを考えれば、仕方ないと諦めていた。自身も団長であった彼は、補佐事務官のありがたみをわかっているのだ。
それだけ仕事を認められている感じがして、いつも父親には励まされている。
「いただきます」
持ってきた朝食を広げる。ランチョンマットを机の上に広げ、具材がたくさん挟まれたパンを頬張った。今日は、エミーリアが大好きな卵が挟まれていた。
家族や使用人たちのさりげない心遣いに、胸が痛んだ。
◆◆◆◆ ◆◆◆◆
エミーリア・グロセが団長補佐事務官としてやってきてから十日が経った。
彼女の働きぶりは、一言で言えば「素晴らしい」である。今までの事務官と異なり、こちらが望む前に声をかけてきて、確認をする。よく気がつくものだと感心してしまうほどだ。
さすが、あのヴィンセントの娘であり、アルフォンスとフリージアの妹であると思った。グロセ家の人間は、とにかく優秀だ。
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