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ローランは、苛立ちを覚えた。せっかく自分が認めてやったというのに、銀プレートを外されたことに、なんとも表現し難い感情が込み上げてきた。
ローランは沸々と湧き上がるこの感情をなんと呼んでいいのかがわからなかった。自分のために甲斐甲斐しく動く彼女をよく思っているのは事実。
それを他の者にも周知させたいという気持ちが動いた。
そもそも団長補佐事務官としてやってくる人間は『闇』候補の者ばかりである。何かしら秀でた能力を持った者がここに配属される。
そんな優秀な彼らであっても、ローランの見た目と雰囲気に呑まれ、叱咤激励に耐えられず姿を消していく。
ローランもここに来る者たちは『闇』候補生と聞いていたため、それを見極めるために厳しくしていた面もあるが、ここ数年は不作続きだった。
彼女であれば間違いなく『闇』としてやっていけるだろう。だが『闇』となった瞬間、一般的な女性の幸せを望めなくなる。それゆえ、『闇』に女性は少ない。理解ある伴侶に恵まれればよいが、彼女は学園卒業と同時に婚約を解消したらしい。
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