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十日を過ぎたあたりから、エミーリアも団長補佐事務官の仕事に慣れ始めた。他の者が十日前後で辞めていたのは、この十日を乗り切るまでが辛いからだろう。
主であるローランはよくわからない男である。ただ、仕事に真面目であることはわかった。それ以外はわからない。
一か月過ぎてもわからなかった。
それでも銀プレートを授けてもらったのは、誇らしいと思う。
チリチリチリン――。
ベルが鳴ると、エミーリアはすぐにローランの元へと向かう。
「悪いが、五日程不在にする」
「はい」
「それまでに、これを調べてまとめておいてくれ」
彼から紙切れ一枚を手渡された。いつものことであるが、座っているローランと立っているエミーリアの目の高さは同じになっている。
渡された紙の内容を読み終えて顔をあげると、目の前にローランの鋭い顔があった。
「承知しました」
「俺は例の採掘場へ向かう。アルフォンスに伝えたいことがあれば伝えるが」
まさか彼からそのような提案がされるとは思ってもいなかった。アルフォンスには一か月に一度手紙を書いているため、特にこれといって伝えたいことはなかった。
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