第二章

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「君は……」  ローランは何かいいたげだった。だがすぐに「まあ、いい」と言葉を続ける。 「以前も不味い飴をもらったが、あれのおかげで寝つきがよくなったし、疲れも取れた。それなりのものであるのはわかっている。だから、ありがたくいただく」 「お力になれてよかったです。できれば、兄にも少しわけてあげてください」 「わかった。アルフォンスにも必ず渡そう。他にも渡す物はあるのか?」 「いえ。ただ、元気ですと、そう伝えてもらえれば」  ローランは、ふっと鼻で笑った。 「あの……」  エミーリアは転移魔法の手伝いが必要であるかを口にするかどうかを悩んでいた。  もしかしたら、余計なお世話かもしれない。だが、自分は団長補佐事務官である。 「転移魔法の手伝いは必要でしょうか。いつも父が転移をするときにも手伝っていたのです。主をサポートするのが、補佐事務官の役目ですよね。だから、そういったのも必要かと思ったのですが……」 「手伝うとは、魔法陣の強化か? であれば、頼みたいのだが」 「あ。魔力を分け与えるほうではなくて?」  それがいつも父親と行っていたことだ。
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