第二章

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 エミーリアの魔力は魔封じの腕輪で抑えられている。だから、分けられる量もある程度は決まっているのだが、それでも父親は、転移魔法の魔力消費量を考えると、エミーリアが魔力を与えることに感謝の言葉を口にしていたのだ。  彼女が魔力を抑えているのも、あの魔石炉暴走事故に巻き込まれたのが原因だった。  この腕輪がないと、魔力の制御がうまくできない。それに気づいたのもヴィンセントで、魔力が膨大に膨れ上がっていることを察したのもヴィンセントだった。だからそれ以降、魔封じの腕輪と呼ばれる、魔力を抑える腕輪をつけている。 「君は、そういったこともできるのか?」  ローランはいささか驚いている様子であった。  魔力を分け与えたり交換したりするのも、やはり魔力の強い者同士しかできない。 「はい。できます。いつも父や他の家族とはそうやって魔力をやり取りしていますので」 「家族と? それは興味深い。ならば……」  ローランの顔は動かず、視線だけが天井を向いた。
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