第二章

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「頼んでもよいだろうか? 今回の採掘場は、向こうで少々ごたごた――崩落事故が起こってな。それの調査のためなんだ。転移した後、すぐに調査を開始したい。できれば魔力を温存しておきたいところだ」  採掘場は山を掘った洞窟だ。山の地下に魔石が眠っているのだ。 「崩落事故、ですか? 怪我人とかは……」  エミーリアは、心臓がぎゅっと鷲掴みされたような感じがした。 「それは、今のところ心配ない」  その一言で、締め付けられた心臓が解放される。 「だが、まだ起こらないとも限らないだろう。だから、俺が現地を確認する。原因も確かめなければならないからな」 「原因、ですか?」 「ああ。あがってきている報告書を読む限りでは、崩落しそうな場所ではなかったらしい。報告書が虚偽であるかどうかも含めて、この目で確認する必要があるだろう? それに、他の場所で同じようなことが起こっては厄介だし、あそこにいる鉱夫たちだって不安だろうからな。そのために、行ってくる」
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