第二章

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 その言葉には、ローランが現地で働いている者を心配している様子が見え隠れしていた。淡々と言葉を紡いでいるが、部下には厳しいのも、人の命がかかっているからなのではと思えてきた。 「承知いたしました。団長の転移魔法のお手伝いをさせていただきます」 「二時間後に呼ぶ。転移魔法陣は、ここに作る。それまで、君は下がっていなさい。むしろ、休憩してもらってもかまわない。隣から好きな茶葉を持っていけ」  好きな茶葉と言われ、エミーリアの気持ちは少しだけ華やいだ。 「では、遠慮なくいただきます」  ぺこっと頭を下げると、隣室へと向かう。戸棚に綺麗に並べられている茶葉の入った缶から、黒っぽいものを選んだ。  ローランは、このお茶を好んではいない。ここにあるすべてのお茶を彼に出した。そのとき、この茶葉で茶を淹れたときだけ、額に深く皺を刻んだのだ。どうやら、お気に召さなかったようである。  それ以降、この茶葉をどう扱おうかで悩んでいた。ローランが飲まないからといって、エミーリアのほうから茶葉をくれと言うのも図々しいと思っていた。  彼女が黒色の缶を手にして戻ると、彼は目ざとくそれを見つけた。
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