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「君は、その茶葉が好きなのか?」
「団長が苦手でいらっしゃるようですから」
そう口にすると、ローランはバツの悪そうな顔をした。
「その他に、緑色の缶も持っていってくれ。あれは渋みが強くて好みではない」
「わかりました」
エミーリアは再び隣室へと向かい、追加で緑色の缶を手にする。飲まれないお茶が、救われた。
「では、一度下がらせていただきます。もし、準備等で必要なときは、お呼びください」
執務室を出ようとしたエミーリアであるが、両手がお茶の缶で塞がっているため、扉を開けられない。
背後から鼻で笑うような声が聞こえた。
「ほら。一つ寄越せ。隣まで持っていこう」
後ろから手が伸びてきて、エミーリアの手の中にあった黒色の缶をひょいと奪い去った。
「団長のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません」
「謝るなと言ったはずだ」
「あ、はい。すみません……」
「言い方がかわっただけだ。謝っていることに違いはないだろう。こういうときは礼を口にしてもらったほうが、俺としては嬉しいのだが?」
礼と言われて、はっとする。エミーリアは、その言葉をあまり口にしない。
「ありがとう、ございます……」
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