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8 チーム犬士犬塚、集合して大暴れ
麗華と子どもの家に向かっていたメイドは、追ってくる車に気付いた。
梓に雇われている黒服の男達だろう。
メイドは麗華がつけていた発信機付きペンダントに気づき、外して足で踏みつけた。
「メイドの分際でいい度胸だな、お前も麗華様も梓様に可愛がられていたのに、逃げ出すとは恩知らずな女たちめ!」
車から降りて来た屈強な男たちが二人に叫ぶ。
車二台、総勢6名が二人を取り囲むように近づき、メイドに向けて拳を突き出す。
メイドの腹に拳が食い込み倒れ伏す、はずだった。
麗華を背に庇ったまま、拳より先にメイドの甲が黒服の首を蹴り飛ばす。
黒服の身体は宙を舞い、次の瞬間地面に叩きつけられた。
痛みで息も出来ない。怒りが黒服男たちの間に立ち上る。
その瞬間、黒服の背に衝撃と共にオレンジ色のインクが飛び散った。
黒服たちが振り向くと、カラーボールを持った長身の男が穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
男は黒服たちに次々カラーボールを投げる。
黒服たちがカラーボールの男に注意を削がれている間、メイドが早業で黒服達の急所を突く。
カラーボールの男も、黒服達の攻撃を軽やかにかわしながら、長い手足を優雅に繰り出す。
ものの数分で粗野な黒服たちが、土埃をあげて地面に倒れ伏した。
「信乃さん、来るの遅いよ」
倒れ伏した黒服の手足を結束バンドで止めながら文句を言うメイドに、信乃が微笑んで答えた。
「仁なら、朝飯前だろ。このくらい」
後ろから志桜里に連れられて、子ども園の園長と先生がやって来た。
黙って立っている麗華を抱きしめる。
麗華は声を上げて、泣き始めた。
「後のことは、こちらに任せてください」
力強く言う信乃に園長は軽く頭を下げ、麗華を連れて子ども園に戻って行った。
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