26人が本棚に入れています
本棚に追加
私の驚いた顔を見て、エドワードも気がついたように自分の手を見た。
「えーっと……これは?」
「鏡がないから見えないだろうけど……色は見える?」
「これが色なんでしょうか? 見たことのない世界が……梨沙の髪も目も相変わらず黒いですが、これは──何色でしょうか?」私の服を指す。
「これは青だよ。こっちは赤。それからこれは黄色。空は青だし、地面は茶色……砂色?」
「つまり、私は白くなくなったのでしょうか?」
「そうだね。フードを被ったら目立つくらいのごく普通の人間って感じ」
「……そうですか」エドワードの声が震えた。
「白くてきれいだったのに」
「ですが、色を見ることができて嬉しい」
あ、そうか。あのままだったら白と黒のモノクロの世界だったのか。
「それに、梨沙が私を愛してくれて嬉しいです」
えっ?
「うん。私も嬉しいよ」
エドワードは笑った。白くなくなっても相変わらずキュートだ。天使のような笑顔。
「もう一回キスしようか?」
「えっ?」エドワードは後ずさる。
「いいじゃん!」私は負けずに一歩近寄る。
「恥ずかしいではないですか」
うふふ。かわいい。
「いいじゃんかー!」
そのあと、私たちはもう一度キスをしてから、王女のいるところへ戻った。なんとか浮車を動かしてピーターを教会へ送り届けたあと、王女とエドワードと、ギリスへ向けて飛び立った。
最初のコメントを投稿しよう!