31. 色のある世界

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 私の驚いた顔を見て、エドワードも気がついたように自分の手を見た。 「えーっと……これは?」 「鏡がないから見えないだろうけど……色は見える?」 「これが色なんでしょうか? 見たことのない世界が……梨沙の髪も目も相変わらず黒いですが、これは──何色でしょうか?」私の服を指す。 「これは青だよ。こっちは赤。それからこれは黄色。空は青だし、地面は茶色……砂色?」 「つまり、私は白くなくなったのでしょうか?」 「そうだね。フードを被ったら目立つくらいのごく普通の人間って感じ」 「……そうですか」エドワードの声が震えた。 「白くてきれいだったのに」 「ですが、色を見ることができて嬉しい」  あ、そうか。あのままだったら白と黒のモノクロの世界だったのか。 「それに、梨沙が私を愛してくれて嬉しいです」  えっ? 「うん。私も嬉しいよ」  エドワードは笑った。白くなくなっても相変わらずキュートだ。天使のような笑顔。 「もう一回キスしようか?」 「えっ?」エドワードは後ずさる。 「いいじゃん!」私は負けずに一歩近寄る。 「恥ずかしいではないですか」  うふふ。かわいい。 「いいじゃんかー!」  そのあと、私たちはもう一度キスをしてから、王女のいるところへ戻った。なんとか浮車を動かしてピーターを教会へ送り届けたあと、王女とエドワードと、ギリスへ向けて飛び立った。
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