32. 将来設計

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「私もだよ。二人でがんばろう。どちらにせよ今は二人共家もお金もないんだから、なんとか仕事を探すしかないじゃん。だったら一緒にがんばろうよ」 「……はい」  エドワードは微笑んだ。よかった。 「あの……本当に結婚するんですか?」 「エドワードがいいなら、私は結婚したいよ」  エドワードは再び真っ赤になった。 「私も嬉しい以外にありません」  何か言い出しづらそうにしている。 「どうしたの?」 「……それでしたら、家族に手紙を……」  そっか! 「うん、ご挨拶に行こう!」  私たちはエドワードの家族がいるランスへ行くことにした。すぐにでも行こうと思ったが、宰相だという偉い人が来て、『ダイアナ様から、戻るまでお引き止めするようにと言伝られておりますので』と言われて引き止められた。  三日後の昼頃に王女は戻ってきて、私たちがまだ留まっていたことに安堵した様子を見せたあと、ウェーデンであったことを話し始めた。  それによると、ウェーデンの反乱は制圧され、無事に終結したとのことだった。首謀者とも言えるピーターが初日に倒され、担ぎ出されたアンドリューも怪我をしたことで民兵たちの士気が低下したらしく、もともとピーターの口車に乗せられて起こした反乱だったから、敗戦は決定づけられたようなものだと、交渉の場で反乱軍側の指揮官が吐露していたそうだ。  ピーターはというと、私たちが教会へ送り届けたあと、いつの間にやら姿を消してしまっていたようで、王女がウェーデンへ赴いた時には既に国内にはいなかったそうだ。アンドリューは治療のために留まっていたが、ピーターの行き先は誰も知らないようだと言っていた。  私はエドワードと結婚することを王女に伝えた。王女は驚きつつも喜んでくれて、ランスへ行くための浮車を用意すると言ってくれた。帰ってきたら祝いの席を設けるから必ず城へ顔を出すようにと念押しされ、私とエドワードはランスへと飛び立った。  エドワードは10年ぶりとなる生家へと帰ってきた。
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