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白い世界……ここは夢の中だ。あの人と喋っていたところ。
「梨沙……迎えに来た」
あの人の声だ。また会えた。
「どこかへ行くの?」
「助けてくれるのだろう? こちらに来て欲しい」
こちら? どこかへ移動するの?
「助けるよ。どこにでも行くよ」
「……ありがとう。もうここへは戻れないが、それでも大丈夫か?」
私は可笑しくなった。
「しつこいな。どこでも同じだよ」
その人も笑った。
「わかった。では行こう」
一瞬の後、見えたもので私は仰天した。現実のような世界が目の前に現れたのだ。
真っ青な天井、視界の端には木の葉がそよいで──外だ!
私は草むらに仰向けで寝ていたようで、身体を起こすと草の感触があった。
遠目に建物が見えているし、それ以外は草原と森と崖がある。青空を見上げていても眩しくなかったのは、その崖が太陽を隠していたからのようだ。
「梨沙、身体は大丈夫か? 病気は治癒しておいたが……」
えっ?
私は深呼吸をして腕をぐるぐると回してみる。
立ち上がってジャンプもしてみた。
「大丈夫。……でも夢の中でしょ?」
「梨沙は覚醒している。眠ってはいない」
「えっ? どういうこと?」
「梨沙の元いた世界から身体ごとここへ連れてきた。ここは、そことは違う世界だ」
ええーー? つまり異世界に来たってこと? 漫画やラノベみたいなことが本当にあるの?
「こちらへ連れてきたのは、頼みたいことがあるからだ」
「そう言ってたね。なに?」
「……納得できたのか?」
「なにが? あっ! 病気を治してくれてありがとう。そのお礼もしなきゃだね。なんでもやるよ!」
「……もっと驚いたり戸惑ったりするのかと思っていたが」
「もちろん驚いたよ。……それで? 何をすればいいの?」
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