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 夫は私の側に来た。何だか怒っているようだ。 あの女がお風呂に入っている間に何か言いたそうな感じで私に近づいて来る。  やっと3年ぶりにあなたと話せる。 無視するの止めたのね。  愛人なんかと別れてくれるのよね? 私は3年ぶりに夫と話ができると思うと心が弾んだ。  まるで新婚だった時のように心がときめいた。 それなのに夫は私に怒鳴った。 「お前、もう3年だぞ!ずっと無視すればいなくなると思ったのに!いつまで家にいるつもりなんだ?」 私は言った「いつまでって?ここは私の家でしょう?何でそんなこと言うの?この家は私とあなたが必死に働いてお金貯めて買った家でしょう? 愛人とこのまま住むつもり?表札まで変えて」 私は夫に精一杯話した。  次の瞬間夫は私に信じられない言葉を話した。 「お前、まさか本当に覚えてないのか?3年前に病気で死んだ事?お前の姿が見えるのは俺だけしかいない。由美お前はもう死んでるんだよ。  いつか成仏してくれると信じて俺は一年前に再婚したんだ。愛美は愛人なんかじゃないちゃんと籍を入れた僕の妻なんだ。  死んだ三年前からお前はずっとそこにいる。 そろそろここに居座るのはやめて成仏してほしい。俺は新しい家族を大切にしたいんだ」 私は次の瞬間自分の身体が薄くなっていくのがわかった。  「そうだったんだね.私が二人の邪魔してたんだね。二人の家に居座ってだんだね」 本当は認めたくなかっただけだったのかもしれない。 自分が死んだ事。  あなたの口から死んでると言って欲しかっただけだったのかも知れない。 私の身体は少しずつ消えていった。 完
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