どうもこんにちは、店長です

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どうもこんにちは、店長です

 皆さん初めまして、六月からマルさん家でお世話になっています店長です。  本名は小太郎と申しますが、マルさんの次女さんに命名を賜りましたので、このまま通り名の店長で行かせて頂きます。  私、当年取って七歳、野良猫生活をして来ましたが、もう本当に体調不良に悩まされる中、知らない地域に迷い込み、そこのボス猫の福の野郎に見つかってしまい、福にボコボコにボコられてフラフラになっているところ、偶然マルさんの敷地に逃げ込んでマル家の皆さんと出逢ったんですよ。  いやね、私も人間に頼らず野良として生きて来たプライドがあるもんでね、ここの家の人間に頼るのもどうかと思ったんですけどね、もう兎に角、眼の瞬膜が栄養不良で浮いて来て視界も朦朧として定まらない様な状態で、この度は猫生、最後の人頼みをここの家の人間に頼ることにした次第です。  まぁ、実は私、子猫の頃は何処かの家で飼われていた様なんですが、ええ、この「様」と云うのはですね、どうですか?皆さんも一歳や二歳の頃の記憶なんて有ります?しかも詳細に?ないですよね?そう、私も人間が嫌いではないのと、朧げな人間の記憶を元に自分が過去、人間と暮した時期があるのだと仮定しているだけで、それで「様」と云う表現を用いたのですが、多分、はい、私は自分を飼い猫経験者だと思っています。  最初は遠くからマルさんと嫁さん、おっと、今は父さんと母さんですが、お二人が犬の散歩を終えて御帰りの所を眺めておりました。  最初に私に気が付いたのは母さんで、後で解る事なんですが、ここの家には八歳になるキジトラの「ミルク」って猫ともう一匹、私と同じ柄でチャトラの三歳になる「ツナ」って猫が居ましてね、そいつと私を間違えたようで、ツナが脱走したと思い慌てて駆け寄って来たんですよ。  しかしツナって子はこう、もう「永遠の子猫」みたいにね、それ卑怯だろってくらいあざとく可愛い子で、野良猫生活の長かった私とは似ても似つかぬ愛され猫でね、ええ、直ぐに私はツナではなく見掛けない野良だと理解したようです。  福の飼い主のばーさんは間違って庭に入って福にボコられた私を箒で追い廻して来たんですが、父さんと母さんは違いました。  お腹を空かせていたのが判ったんでしょうね、直ぐに餌を用意してくれて、その日はおやつのチュールも盛大に持って来てくれて、あの時は涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。  その日から父さんと母さんの家に通い始めました。 永遠の子猫ツナ fc3a211d-733f-470f-bf4e-1452ab9c8950 これが当初の私です。 3c0e6f98-988f-470d-adcd-79e9dd8cdd23 ほらね、似ても似つかないでしょ? 49f5b413-9b8f-482b-a6c4-b82f1800707d 反則だよねー ad7609c2-69ad-4ce3-82bd-2c9c166b3150  
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