17.再び婚姻の義

1/1
前へ
/30ページ
次へ

17.再び婚姻の義

成瀬:ギルドの部屋  翌朝。剣地は朝の準備をすぐに終わらせた後、ヴァリエーレさんの家に行くと言って出て行った。その時、剣地は綺麗に整えられた服を着ていた。 「ケンジ、楽しそうだね」  ルハラが歯磨きをしながらこう言った。あいつが喜ぶのも当たり前だと思う。  ヴァリエーレさんは本当にスタイルのいい人。性格もいいし、母性が溢れ出ている。そんな人と結婚できるなんて、あいつもうれしいのだろう。 「ねぇ、私たちもあとでヴァリエーレを迎えに行こうよ。一緒に住むことになるから」 「そうね。じゃあ、さっさと支度をしましょう」  その後、私たちは朝の支度を始めた。 剣地:ヴァリエールの屋敷 「いやー。待っていたよ、ケンジ君。君みたいな子がヴァリエーレの旦那になるなんて、本当にうれしいよー。ヒック」  と、ヴァリエーレの親父さんが酔っぱらってこう言った。守衛曰く、もう昨日から飲んでいるらしい。この光景を見ていたヴァリエーレさんは、父親の本性を見て、少し呆れていた。 「お父様、もうお酒はおやめになったら……」 「こんなめでたい日、飲んで祝うしか……」  この時、ヴァリエーレの親父さんの顔が青く染まった。それからすぐに、千鳥足でトイレに向かって中に入った。そこから、親父さんの苦しむ声が響いた。 「まさかお父様が、私のことをちゃんと考えていたなんて、思ってもいなかったわ」 「娘の前だと、立派な父親を演じていたって言っていました。本当は気楽で、俺みたいなスケベの人でしたよ」  この言葉を聞き、ヴァリエーレさんは笑い始めた。しばらくし、親父さんがふらつきながら姿を見せた。 「じゃ……じゃあこれから婚姻の儀に行ってきなさい。ケンジ君。もうヴァリエーレは君の嫁さんだから、乳揉みしだこうが、太ももに顔突っ込もうが君の自由だ」 「お父様ったら!」  ヴァリエーレさんは顔を真っ赤にしてこう言った。その直後、親父さんは人類皆スケベと叫んで飲むのを始めた。 「はぁ……ケンジ、教会へ行きましょう」 「はい」  その後、俺とヴァリエーレさんは家から出て、教会へ向かった。その途中、成瀬とルハラと遭遇した。 「挨拶はもう済んだの?」 「ああ。と言っても、今親父さんは酔っているから挨拶しても意味ないと思う」 「こんな朝早くから飲んでいるの?」 「正確に言うと昨日の夜かららしい。娘が嫁に行くのを喜んでいるみたい」  会話後、成瀬とルハラと合流した俺達は、教会に着いた。だが、今日に限って大勢の人が婚姻の儀のカウンターに並んでいた。 「混んでるねー」  ルハラは何度もジャンプしながら列の様子を見ていた。ここで待っていても意味はないし、並ぶとするか。  どうやら、俺とヴァリエーレさんの婚姻の儀を行うのはかなり先になること。その待ち時間二時間ぐらい。どっかの夢の遊園地のアトラクションみたいだ。  二時間後。ようやく俺たちの番になった。神父さんは俺を見てこう言った。 「二回目だね。また嫁さんができたのですか」 「はい。まぁ事情があって」 「まぁいいや。じゃあ婚姻の儀を行います」  そして、俺とヴァリエーレさんの婚姻の儀が始まった。ヴァリエーレさんの右手の甲に光が放たれ、俺や成瀬、ルハラの右手の甲と同じ紋章が現れた。これで、ヴァリエーレさんは俺の妻になったのだ。 「じゃあ、ギルドに行ってこのことを伝えてくるか」 「ええ」  ヴァリエーレさんは俺の手を握り、こう言った。 ルハラ:ギルドの部屋  いやー。あの後は大変だったねー。ケンジがヴァリエーレと結婚したことをギルドに報告した途端、ギルドの野郎連中は騒ぎ始めた。当然だね。  私とナルセが結婚した時も騒いでいたけど、あれ以上に野郎連中がケンジをいろいろ茶化していた。短期間で三人の美少女を嫁にしたから、野郎連中も騒ぎのも当然か。 「あーくそ、あいつら……いろいろいじりやがって……」  私が部屋でくつろいでいると、ヴァリエーレと共に髪がくしゃくしゃになったケンジが戻ってきた。 「髪の毛がくしゃくしゃね」 「野郎たちにもみくちゃにされた。そんでもって何故か胴上げされたし……」  大変そうだね。まぁ皆から祝福されたならいいか。 「で、これからどうするの?」 「皆で飯食いに行こうぜ。野郎たちがおごってくれるって」  おごってくれるのか。人の金で食う飯はおいしいからね。というわけで、私たちはご飯を食べに下に行った。  食事後、しばらく私たちは食休みをしていた。ナルセは本を読んでいて、ヴァリエーレは荷物の整理をしていた。で、ケンジはまたもみくちゃにされたので、お風呂に入っていた。 「ふー。やっと終わったー」  ヴァリエーレの整理が終わったみたい。私はヴァリエーレに近付き、こう言った。 「ケンジがお風呂に入っているから、一緒に入ってくれば?」  私のこの言葉を聞いたヴァリエーレは、驚いて目を開いた。 「いやあの……それは……」 「シムケン山で一緒になりたいって言っていたよね」 「それはそうだけど……あの時はそういう心情だったから」 「私とナルセは告白した次の日に一緒に風呂に入ったよ」  この時、ナルセが私の口をふさいだ。 「ヴァリエーレさん。あいつとお風呂に入るのはヴァリエーレさんの好きなタイミングでいいので」 「ちなみに私はどんなタイミングでもオッケーだよ。それか、私と入る? いろいろとマッサージしてあげるよ。ゲヒヒヒヒヒ」 「えっと……その……」  ヴァリエーレは覚悟を決めたのか、お風呂場へ向かった。おっ、やる気だね。 剣地:ギルドの部屋  野郎は加減というのを知らないのかよ。もみくちゃにするのはいいけど、体に煙草の臭いはつくし、髪はくしゃくしゃだ。風呂に入ってスッキリしよう。  体は洗ったから煙草の臭いは消えたし、髪は出た後で整えればいい。しばらく湯船に浸かっていると、扉の外でヴァリエーレさんの姿を見た。 「ねぇケンジ、一緒に入っても……いい?」 「どうぞ」  俺の返事の後、ヴァリエーレさんが入って来た。 「桶はこれ使っていい?」 「はい」  ヴァリエーレさんは桶に湯を組み、体にかけた。水滴がナイススタイルのヴァリエーレさんの体をさらに魅力的に彩る。俺は思わず見とれてしまった。エッチな感情よりも、美術品を見るかのように美しいと思う感情の方が強かった。 「じゃあ……失礼します」  ヴァリエーレさんは俺の横に移動した。おおっ。巨乳が俺の体に当たる。その感触が、体中に徐々に広がる。まずい、ムラムラしてきた。 「誰かとこうして風呂に入るのは、本当に久しぶりだわ」 「俺はこの前成瀬と一緒に入りましたが……あの時は久しぶりだったな。九歳のころまで成瀬と一緒に入っていたのに……いつからか一緒に入らなくなったな」 「私はよくメイドと入ったわ。異性と入るのはケンジが初よ」 「俺が一番でよかったのですか?」 「ええ」  ヴァリエーレさんは俺の方を向き、そのまま俺の唇を奪った。 「風呂から上がった後……一緒に寝ましょう」 「もしかしたら、成瀬とルハラが混じるかもしれませんが」 「皆で寝るのね、構わないわ」  その後、俺とヴァリエーレさんは風呂から上がった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加