村雨カレン

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村雨カレン

私と同じように人が食事をとることに対して憂えるものが一人。 かと思ったが、彼女の場合は少々事情が違うようだ。 「食べれないのだ。食べれないのだ。ううう、やっぱり無理なのだ」 「カレンちゃん、お弁当箱を目の前にして、何してるの?」 不用意に近付くミツキである。 「う、な、何、この強烈なニオイは!?」 浅はかな奴だ。 彼女の名は村雨カレン。吸血鬼の生まれ変わりだ。何故彼女が日本に転生してきたかというと、目的ははっきりしている。 「これもなんかのキャラ弁なん?ニンニクが丸ごとゴロゴロ入っとるで」 ウララは鼻栓を使った。 なぜそんなものをポケットに常備しているのだ? 「やっぱりニオイが苦手なのだ」 村雨カレンが生まれた目的は、苦手なものを克服するため。 だからといって、こうまでニンニクがぎっしり詰まっていると、こちらまで臭い。 「カレンちゃん、私が放課後いいとこに連れてってあげるわ」 天使のように微笑むヒマリが不気味であった。
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