ホヤ弁

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ホヤ弁

ホヤ弁とは何か? 元大魔王であるこの私の博識さを持ってしても、思い当たる節はない。 「ほれ、見てみ」 と、中森ウララが自分の弁当を見せてくれる。 「色付きのマンゴーみたい」 と、おバカな感想はもちろん御手洗ミツキである。 色付きでないマンゴーがあったら教えて欲しいが、確かにそう見えなくもない。 マンゴーの色を濃くして、イボイボをつけたみたいだ。 「これは何だ?」 「ホヤや」 「ホヤ?」 「キャラクターを形どったのがキャラ弁やろ?ホヤを形どったのがホヤ弁や」 とウララが説明してくれた。 「かわいい〜」 「そやろ?」 「そうか?」 ウーム、ホヤか。 日本では主に三陸沖で漁獲される、魚でも貝でもない、脊索動物の一種だ。 「中身は何だ?」 「焼きおにぎりなんよ」 「よくこの色を出せたな」 「苦労したで。醤油を何回も塗り重ねるんや」 そういえばホヤといえば、日本酒が止まらなくなるというな。 「辛いわ〜、日本茶が止まらなくなる」 「塩分入れすぎだ」
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