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「寄るな。暑苦しい」
夏って事も有って、俺は山村を引き剥がした。
「うわー?!」
「何やってるんですか?千夜くん!山村先輩も調査員の1人、きちんと協力して下さい」
協力するのは100歩譲るとして、何で腕組んだり挙げ句の果てには、寄り掛かられて歩かなきゃならねーんだ?
鈴木も山村にはあめーからな。
と、反対隣を歩いている香澄が言う。
「千夜くん、私も腕組んでも良い?」
「ああ、良いぜ」
「酷い!保!差別だ!…あ」
斜め下から山村が抗議の声を上げる。
だが、俺は気付かなかった。
香澄が山村のことを睨んだ事を。
それにビビった山村が黙る。
俺は理由は分からなかったが、五月蝿いのが静かになったと思って、せいせいと歩いていた。
「山村先輩?僕で良ければ腕組みましょうか?」
「うん!鈴木くん、ありがとー」
結局、2、2で落ち着いたらしい。
旧校舎は、正門から少し離れた所に建っている。
滅多に人が近付かねーから、旧校舎に面した壁は一部が崩れて中に入れるようになっていた。
「不用心ですね。明日になったら、用務員さんに言いにいきましょう」
鈴木が冷静かつ呑気な事を言う中、俺は先頭を切って敷地内に入った。
「僕もー♡」
香澄が躊躇っているのを良い事に、山村も何故か喜びいさんで入ってくる。
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