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「…くん!千夜くん?!」
「保ー!?しっかりして!」
ゆさぶされる感覚。
聞こえてくる必死な声の鈴木と山村。
俺は悪夢から覚めるように、ハッと目を覚まし、ガバッ!と起き上がって、山村と頭同士をぶつけた。
「うっ…?!」
「いったあーい!」
「お2人共、大丈夫ですか?!」
見ると俺はズボンをきちんと履いている。
下着も同様だろう。
だが、頭の痛み以上に、股間が何やら濡れている感触がして、気持ち悪い。
俺は男しか居ねーのを良い事に、下着の中を覗いてみた。
「何やっているんですか?!千夜くん?!」
「…悪い。夢精しちまった」
理由までは、流石に言えなかったが、鈴木はその言葉を聞くと、ポケットティッシュを差し出してくれる。
「とりあえず、これで処理して下さい。…ですが気絶している間に夢を見ることがあるとは初耳ですね」
「あ、ああ。俺もだ。とりあえず、ここで処理させてもらうぜ」
鋭い鈴木は、怪訝そうに俺の様子を見ていたが、山村の声に、そっちに気が削がれる。
「僕の方は大丈夫だよう。頭、ぶつけてビックリしちゃった」
「本の束に埋もれているお2人を見た時は、こちらも驚きました。…千夜くん、頭の方は大丈夫ですか?」
聞きようによっては、失礼に聞こえなくもねーが、鈴木が心配してくれてるのは、その表情を見ればわかる。
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