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先輩の生き霊からの逃走
「ああ。吐き気もねーし、大丈夫だ。…と、やっぱシャワーでも浴びねーと、完全にはスッキリしねーな」
だが、ティッシュで拭いたお陰で、さっきよりかは少しだけマシになったような気がする。
さて、問題は香澄の居場所についてだが。
「それ以上は我慢して下さい。諸橋さんの居場所について、こちらは大分、絞らせて頂きました」
「本当か?!」
あれだけの情報で絞れるとは、やっぱ鈴木はちげーな。
鈴木は、山村としゃがんだまま、自らの推理を述べ始める。
「体育会系の部室で同じ物が沢山ある所は、そんなに多く在りません。強いて言うなら、バレエ部が挙げられるのではないでしょうか?」
「バレエ部ー?何でー??」
山村はてんでわかっていなさそうだが、俺はその言葉にピンときた。
「香澄は先輩の霊体に跳ばされた。その先に在るのは、鏡、だな?」
「そうです。僕達がここに来た時も鏡の力によるものでした。諸橋さんも同様な目に再び遭ったなら、その可能性は高いです」
「そっかー。バレエ部なら、鏡、沢山在るもんねー」
山村も合点が言ったらしい。
そうと決まれば、善は急げだ。
香澄を迎えにバレエ部の部室に急ごう!
もし違っていても、その時、考えりゃー良い。
俺はティッシュをゴミ箱に捨てると、鈴木と山村と共に、バレエ部の部室に向かった。
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