先輩の生き霊からの逃走

2/10
前へ
/40ページ
次へ
だが、その途中、困った問題が起きた。 俺がさっき危惧した喉の渇き。 それを全員が感じ始めたのだ。 「喉が渇いたよう…」 「俺もだ。だが、トイレの水が流れなかったって事は、水道の水も出ねー可能性が高い」 「そうですね…。一か八かの賭けになりますが…」 鈴木の言葉に、俺と山村が過敏に反応する。 「何々?!」 「何か良い方法があるのか?」 「安全面では保証できかねます。ですが、先程、購買部の前を通り掛かった時、ペットボトルの水が置いてあるのを見ました」 普通なら飲んでも何ともねー水だろうが、ここに置いてあるのを飲むのは、確かに危険な気がする。 だが、山村は我慢出来なかったらしい。 「でも、喉が渇いて死にそうだよう!」 そう叫ぶと、購買部の方に向かって駆け出した。 「待ってください!山村先輩!」 鈴木が後を追うが、足が遅くて追いつけねー。 俺は鈴木を追い抜くと、山村の腕を後ろから掴んだ。 「待て、山村!鈴木が安全かどうか解らねーっつってんだろ?」 「でも、お水飲みたいよう!」 「わーった。最初のひと口は俺が飲む。それで良いか?ただし、俺に何かあったら、絶対に飲むな!」 山村は、俺の気迫に押されたようだ。 鈴木も息を切らして追いついてくる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加