12人が本棚に入れています
本棚に追加
「千夜くん、充分に注意して下さい。ここは霊体の支配している場所でもあるんですから」
「保に、もしもの事が有ったら…コホッコホッ」
山村の喉の渇きは、もう限界なのか空咳をし始める。
俺は覚悟を決めると、3人で購買部に急いだ。
購買部には確かに水が置かれている。
それだけじゃねー。
パンとかも普通に置いてあるのが、逆に不気味だ。
俺は店員が居ねーのを確かめて、ペットボトルの水を取り出した。
水は普通に冷えている。
電気が通っている訳でもねーのに、それが更に不気味さに拍車を掛けた。
だが、背に腹はかえられねー。
俺はゴクリと緊張の唾を飲むと、ペットボトルの蓋を開ける。
鈴木も山村もビビっているのか、急かすこと無く、俺が持つペットボトルを見つめている。
よし、飲むぞ…。
俺はゴクリとペットボトルの水をひと口飲んだ。
渇いた身体に染み渡っていく水は意外にも美味かった。
しばらく、3人の間に沈黙が流れる。
「…どうですか?千夜くん」
鈴木が恐る恐る訊く。
拍子抜けする程、何ともねー。
「大丈夫そうだ。ほら、山村。鈴木の分も取っとけよ」
「う、うん!…ぷはあー!美味しい!はい、鈴木くん!」
「ありがとうございます。…本当に普通の水ですね」
俺達3人は、症状が時間差でくる事も知らずに、それぞれペットボトルの水を一気に飲み干した。
最初のコメントを投稿しよう!