先輩の生き霊からの逃走

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「千夜くん、充分に注意して下さい。ここは霊体の支配している場所でもあるんですから」 「保に、もしもの事が有ったら…コホッコホッ」 山村の喉の渇きは、もう限界なのか空咳をし始める。 俺は覚悟を決めると、3人で購買部に急いだ。 購買部には確かに水が置かれている。 それだけじゃねー。 パンとかも普通に置いてあるのが、逆に不気味だ。 俺は店員が居ねーのを確かめて、ペットボトルの水を取り出した。 水は普通に冷えている。 電気が通っている訳でもねーのに、それが更に不気味さに拍車を掛けた。 だが、背に腹はかえられねー。 俺はゴクリと緊張の唾を飲むと、ペットボトルの蓋を開ける。 鈴木も山村もビビっているのか、急かすこと無く、俺が持つペットボトルを見つめている。 よし、飲むぞ…。 俺はゴクリとペットボトルの水をひと口飲んだ。 渇いた身体に染み渡っていく水は意外にも美味かった。 しばらく、3人の間に沈黙が流れる。 「…どうですか?千夜くん」 鈴木が恐る恐る訊く。 拍子抜けする程、何ともねー。 「大丈夫そうだ。ほら、山村。鈴木の分も取っとけよ」 「う、うん!…ぷはあー!美味しい!はい、鈴木くん!」 「ありがとうございます。…本当に普通の水ですね」 俺達3人は、症状が時間差でくる事も知らずに、それぞれペットボトルの水を一気に飲み干した。
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