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喉を潤した俺達は、今度こそバレエ部の部室に向かった。
そこに香澄が待っている事を願いながら。
バレエ部の部室のドアを開ける。
元々、隠れられそうな場所がねー部室の片隅に香澄が体育座りして、膝に顔を埋めていた。
やっと逢えた…。
「香澄!」
俺はそう言うと、香澄の元に駆け寄る。
「千夜くん!気を付けて下さい!本物の諸橋さんかどうか解りませんから!」
鈴木が警告した時には、俺はもう香澄の直ぐ近くにまで行っていた。
「千夜、くん…?」
顔を上げた香澄の顔は、バケモンでも何でもなく、確かに香澄の可愛い顔だった。
只、その頬は涙で濡れている。
香澄も、こんな所で、ずっと1人…怖かったんだろうな。
俺は香澄の目の前に片膝ついて屈むと、鈴木から貰ったポケットティッシュで、その濡れた頬を拭いてやった。
「良かった…携帯が繋がらなくなって、もう駄目かと思っていたの…。千夜くん、逢いたかった…!」
香澄は、そう言うと俺に抱きついてきた。
そのホセー身体は、恐怖のせいか震えていて…そして、暖かかった。
「悪かった…俺のせいで、こんな所に跳ばされて…」
「いいえ、千夜くん、本当に迎えに来てくれたから…」
安堵の涙を流す香澄に、俺は優しく言った。
「香澄。安心するのは、まだはえーぜ。ここからどうやって脱出するかを考えなきゃな」
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