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「見て見てー。ここの鏡、それぞれ違う場所を映してるー」
山村の声に、香澄の身体を支えて、2人で立ち上がると、鏡には確かに違う景色が映っていた。
「ここに来た時の事を考えると、行きたい場所の鏡の前に立てば良いんでしょうか?」
映っている場所は男子便所の前、下駄箱の出入り口、非常口だった。
きっと、どこも元の旧校舎に繋がっているのだろう。
下駄箱の出入り口が映っているのが、何よりの証拠だ。
ここは、やはり早く出る為にも、下駄箱の出入り口の前に立てば良いんだろ。
そう思ったのは皆、同じだったらしく、4人で鏡の前に立つが、俺達の姿は映らねーのは勿論、一向に何の変化もねー。
「おい、鈴木。どうなっているんだ?」
「…こんな事、言いたく有りませんが、先輩の霊体とのことをどうにかしない限り、変化は起こらないのかもしれません…」
「その先輩って誰なの?私のこと、随分と目の敵にしていたみたいだけど…」
そういや、香澄は先輩に会った事がねーから、何も知らなくて当たり前だ。
「僕、先輩に階段から突き落とされたのー!」
「ええっ?!」
香澄が驚くのも無理はねー。
だが…理由までは鈴木も山村も知らねーから、ここは黙っていた方が良いだろう。
先輩は在籍中、俺を独占する為に、山村に危害を与えたり、鈴木が当時、可愛がってた子犬を連れ去ったりした。
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