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その次を鈴木が。
香澄はビビって怖気付いたのか、中に入ってこようとしねー。
「香澄、こえーなら、古屋敷まで送って行くから先に帰っているか?」
「えー!そしたら、僕と鈴木くんは、どうするのー?」
「るっせ。2人で先に入ってろ。俺も後から行く」
俺は、1人でも平気だからな。
そう思って言ったんだが、鈴木が冷静に言う。
「いえ、ここは団体行動した方が良いでしょう。念の為にも」
「けどよ、香澄がビビってるんだぞ?」
「良いわ。私も行く。…いざとなったら、千夜くんが守ってくれるわよね?」
香澄が濡れた瞳で俺を見上げる。
俺は何もねーと思っていたが、香澄があんまりにもビビっているので、頷いた。
香澄が震える手を俺に伸ばしてくる。
俺は安心させるように、その手をしっかり握って引っ張った。
全員、旧校舎の下駄箱前に立つ。
「何か、それっぽい雰囲気だよねー」
香澄の恐怖心を煽るような事を言う山村のことは、後で絞めるとして、だ。
俺は面倒な事は、とっとと終わらせちまおうと思った。
「行くぞ」
そう言って香澄の手を引っ張るが、香澄は動こうとしねー。
「やっぱり、何だか怖いわ…」
香澄…そんなにビビるなら、引き受けなきゃ良かったのによ。
まあ、そこが香澄の優しさだよな。
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