12人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、僕と鈴木くんが前を行くよう!行こ?鈴木くん」
「そうですね。千夜くんと諸橋さんは、僕達の直ぐ後ろをついてきてください」
山村が鈴木の手を引っ張るようにして、校舎内に入っていく。
「…香澄。2人の後ろからなら、大丈夫か?」
俺は念の為に香澄に訊いた。
香澄は俺を見上げて、コクンと頷く。
「大丈夫。私だけ行かない訳にはいかないもの。…行きましょう」
香澄が、勇気を振り絞ってくれたところで、俺も中に入る。
校舎内は、夜って事も有って、不気味に静まり返っている。
…何か、それらしい雰囲気だぜ。
だが、想定内だ。
俺は香澄の手をしっかり握って、前を行く鈴木と山村の後に続いた。
呪われた生徒の霊どころか何もねー。
只、廊下を歩く俺達の足音が、ヤケに耳に響いた。
「ねえ、保ー。それでどこに行くのー?」
山村の口にした『保』と言う言葉が廊下に反響する。
「山村。るっせーよ。ちと声のトーン落とせ」
「そう言う千夜くんの声も廊下に反響してますよ?」
鈴木の言う『千夜くん』も、耳に響く。
鈴木の声は、そんなにデカくねー筈だが。
「何か…私達の声が普通より大きく響いているみたい。特に…千夜くんの名前が…」
香澄の消え入りそうな声まで耳に残る。
最初のコメントを投稿しよう!