過去の囁き

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「じゃあ、僕と鈴木くんが前を行くよう!行こ?鈴木くん」 「そうですね。千夜くんと諸橋さんは、僕達の直ぐ後ろをついてきてください」 山村が鈴木の手を引っ張るようにして、校舎内に入っていく。 「…香澄。2人の後ろからなら、大丈夫か?」 俺は念の為に香澄に訊いた。 香澄は俺を見上げて、コクンと頷く。 「大丈夫。私だけ行かない訳にはいかないもの。…行きましょう」 香澄が、勇気を振り絞ってくれたところで、俺も中に入る。 校舎内は、夜って事も有って、不気味に静まり返っている。 …何か、それらしい雰囲気だぜ。 だが、想定内だ。 俺は香澄の手をしっかり握って、前を行く鈴木と山村の後に続いた。 呪われた生徒の霊どころか何もねー。 只、廊下を歩く俺達の足音が、ヤケに耳に響いた。 「ねえ、保ー。それでどこに行くのー?」 山村の口にした『保』と言う言葉が廊下に反響する。 「山村。るっせーよ。ちと声のトーン落とせ」 「そう言う千夜くんの声も廊下に反響してますよ?」 鈴木の言う『千夜くん』も、耳に響く。 鈴木の声は、そんなにデカくねー筈だが。 「何か…私達の声が普通より大きく響いているみたい。特に…千夜くんの名前が…」 香澄の消え入りそうな声まで耳に残る。
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