12人が本棚に入れています
本棚に追加
「まるで、ここだけ気温が極めて低くなっているようですね…」
今度は、全員、感じたって事は間違いねー。
だが、特定の場所だけ寒いのは、近くにホントに霊がいんのか?
今まで幽霊なんざ、これっぽちも信じていなかったが。
だが、幽霊が居るなら、居るで、真相を突き止めなきゃならねー。
「…入るぞ」
俺は風が吹いてくる理科室のドアに手を掛けた。
「ええっ?!」
香澄が不安そうな声を上げる。
俺は、しがみついたままの香澄の手の上に、俺自身の手をしっかり添えた。
大丈夫だと言うように。
「香澄。何かあったら俺が守る。それに、何も無けりゃー無いで、ハッキリしたら安心出来るだろ?」
「え、ええ…そうね」
香澄が震えているのは、寒さだけのせいじゃねーと思うが、そう言ってくれたことで調査が進む。
「でも、ここだけ寒いのって、何か有るから、冷んやりしてるんじゃないのかなぁ?」
「山村、余計なことは言うな!」
「いえ、山村先輩の言う事も一理ありますよ。それにレビューする以上は、千夜くんが敵わない状況でも調査するしかありません」
どいつもこいつも香澄をビビらせるような事を言いやがって。
俺が敵わねー?
そんな事言われると俺までビビってくるじゃねーか。
だが、俺がビビってたら、香澄はもっとビビる。
最初のコメントを投稿しよう!