過去の囁き

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「まるで、ここだけ気温が極めて低くなっているようですね…」 今度は、全員、感じたって事は間違いねー。 だが、特定の場所だけ寒いのは、近くにホントに霊がいんのか? 今まで幽霊なんざ、これっぽちも信じていなかったが。 だが、幽霊が居るなら、居るで、真相を突き止めなきゃならねー。 「…入るぞ」 俺は風が吹いてくる理科室のドアに手を掛けた。 「ええっ?!」 香澄が不安そうな声を上げる。 俺は、しがみついたままの香澄の手の上に、俺自身の手をしっかり添えた。 大丈夫だと言うように。 「香澄。何かあったら俺が守る。それに、何も無けりゃー無いで、ハッキリしたら安心出来るだろ?」 「え、ええ…そうね」 香澄が震えているのは、寒さだけのせいじゃねーと思うが、そう言ってくれたことで調査が進む。 「でも、ここだけ寒いのって、何か有るから、冷んやりしてるんじゃないのかなぁ?」 「山村、余計なことは言うな!」 「いえ、山村先輩の言う事も一理ありますよ。それにレビューする以上は、千夜くんが敵わない状況でも調査するしかありません」 どいつもこいつも香澄をビビらせるような事を言いやがって。 俺が敵わねー? そんな事言われると俺までビビってくるじゃねーか。 だが、俺がビビってたら、香澄はもっとビビる。
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