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俺は恐怖心を振り払うように、気持ちを鼓舞すると、ガラガラとドアを開けた。
理科室には、理系の本だろ。
棚の上に本棚が置いてあって、そこに本が並べられている。
よくある人体模型は、見当たらねー。
「良かった…本当に何も無いみたいね」
香澄が少し安心したような声を出す。
と、山村が又も余計なことを言い出した。
「あれー?ここ、理科室だよねー?人体模型は無いのー?」
山村は、さっき香澄に睨まれた仕返しをしているのだが、俺にはそんな事、気付く筈が無かった。
「山村。ここに1人きりにさせられたいか?」
「えー?!何でー?!」
「山村先輩。おそらく人体模型は、準備室の方にあると思いますよ?」
鈴木の冷静なツッコミに、準備室へのドアに向かおうとした山村の腕を掴む。
「どこ行くんだ?山村。先ずはこの部屋を徹底的に調べるぞ」
「ゔゔ…保がそう言うなら…」
山村は俺の気迫にタジタジになっている。
香澄を必要以上にビビらせたくねー。
だが、この部屋でも異変がある事に俺達全員が気付いてなかった。
手分けして、部屋の中を調べる。
俺は香澄と、本棚の本を何気なく見ていた。
「生物図鑑ですって。可愛いわね」
香澄が本棚の中の一冊を手に取る。
俺は、香澄が落ち着いてきているのと、生物図鑑に特に興味がなかったので、引き続き順番に本を中心に見ていった。
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