初めての誕生日

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「お前は、こんな時にも他人を心配するんだな」 首を傾げるとローレンス様が呆れたように笑った。 「ローレンス様!!コリン様見つけました!!」 そう言って大声で扉を思いっきり開けて飛び込んで来たのはナタリーさんだった。 頭を抱えるローレンス様。 シリル様とシャーロット様は笑っていた。 「もう少し丁寧に入っては来れないのか。ここは王城だ」 「も、申し訳ございません!!ですが、メアリー様のご容態を少しでも良くしたく……!!」 「気持ちは分かった。だが少し静かにしろ」 ローレンス様はそう言うと、ナタリーさんに連れてこられたコリンさんを見た。 「突然すまない。妻が失声剤を1瓶飲んだみたいで、緩和させる薬を探している。今まで使用したことが無いため、あるかは分からないが……」 「ありますよ。ただ、失声剤で喉が焼けてると思うので物凄く痛みます。それも1瓶となれば尚のこと。なので……」 コリンさんは私の側に来ると、葉っぱを1枚私に差し出した。 「これ、奥様なら分かりますよね?」 そう言われて頷く。 この葉っぱは痛みを麻痺させる薬を作る際に使用する薬草だ。 直接噛めば効果てきめんだけど、普通はすり潰して飲みやすくするって本には書いてあった。 「これを直接噛まなきゃいけないくらいヤバいって事ですよ、奥様。なんでこんな事になってるのかは知りませんけど、俺は一応貴女に期待してるんです。勝手に死のうとしないでください」 そう言ってコリンさんは私の口に薬草を突っ込んだ。 しばらく薬草を噛んでいると足の痛みがマシになってきた。 「てか足、大丈夫ですか?めっちゃグサグサ刺されてる痕あるって聞きましたけど、歩けなくなったらどうするつもりなんです?リーチ公爵に迷惑かけたくないんでしょ?」 その通りすぎて小さくなっている私の隣で呆れながら薬を用意してくれるコリンさん。 シリル様は困ったように笑って口を開いた。 「そんなに怒らないであげてよ、コリン。メアリーだって、怪我したくてしたわけじゃないだろうし」 「分かりませんよ?だってこの人、自分の事傷つけるの趣味なのかってくらい好きじゃないですか。何でもかんでも自分のせいって、有り得ないでしょ」 コリンさんは素早く薬を調合すると、その薬をローレンス様へ渡した。 「いいですか?絶対に一滴も零さないように飲ませてください。暴れても押さえつけて、吐きそうになっても飲み込ませてください」 「拷問じゃないですか!?」 ナタリーさんがコリンさんの胸倉を掴む。 そんなナタリーさんをアーサーさんが引き離した。 「それくらいヤバいって事でしょ、ナタリー。メアリー様が一生話せなくなってもいいの?」 「うぅ……それは嫌です……っ」 ローレンス様は瓶に入った液体を眺めてから私を見た。 「コリン、聞きたい。この薬の最も効果的な飲ませ方はなんだ」 「そりゃあれですよ、口塞いで、暴れるのを阻止出来れば何でもいいです」 「もしこの薬を健康体の人間が口にしてしまった場合、何か起きるか」 「特には起きませんね。健康体の人からすれば、ただの苦い水ですから」 「わかった、感謝する」 ローレンス様は何故か持っていた薬を自身の口に入れた。 その場の全員が驚いて固まる。 私も驚いていると、ローレンス様から一気に口付けられた。 「!?」 口の中に流れてくる液体。 喉まで流れてくると、確かに失声剤を飲んだ時と同じような痛みを感じた。 痛さでキュッと目を瞑って身体を固くすると、ローレンス様に痛い程に抱きしめられた。 完全にローレンス様の口には薬が無いはずなのに、それでもローレンス様は口付けるのを辞めなかった。 痛いのに頭がふわふわして、幸せで麻痺してくる。 馬車の中でしたキスよりもずっと深くて、頭が真っ白になっていく。 もっとして欲しい、離れないで欲しい。 無意識の内に私はローレンス様の服を掴んでいた。 .

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