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教室にいても、私はなんだか落ち着かなくて、教室内に荷物を置いたまま、教室付近の廊下を行ったり、来たりしていた。なにも考えずに往復していた。
「こんなところで何してる」
と聞き覚えのある声がした。
振り返ると、そこにはあの日以来会っていなかった先輩の姿があった。
「なんもしてないです」
「じゃあ、どうしてここにいるんだ。荷物は。中には入れない状態なのか」
「何となく居づらくて、気まずくて始まるまでここにいようかなって思ってここにいるだけなので、中には入れます。私の荷物も中にあります」
「気まずさ感じているなら、入らない方が良いだろ。苦労するぞ」
「そうですよね。でも、入るって言ってしまったから、入らないとだめかなと思って入ること決めたんです」
「そんなこと、気にしないと思うな。ただの冗談くらいにしか思われてないと思うし、入らなくてもきにしないと思うよ。まあ、入ってくれたら、少なくとも僕は、嬉しいけど」
「そうなんですか。それなら、やっぱり入った方が良いですね。そのかわり、何かあったら、守ってくださいね」
「そんなこと言っても、僕は三年だから、あんまり守れないよ。期待されても困るよ」
「冗談ですよ。でも、チャイム鳴るまでここで話し相手になってくれるとうれしいです」
「それくらいなら、いいよ。あと五分くらいしかないけど」
先輩には、思っていたことを正直に話せた。なにか取り繕わないと思うこともなかった。
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