久しぶりの本音

1/6
前へ
/12ページ
次へ

久しぶりの本音

 今日(きょう)は、(だれ)にも本当(ほんとう)(わたし)()られずに、()んだ。みんな、(わたし)(あか)るくて、面白(おもしろ)い、いい()だと(おも)ってくれている。このいい()っていうのは、善悪(ぜんあく)(はなし)じゃなくて、都合(つごう)()いとか、(あつか)いやすいとかそういう意味(いみ)だと(おも)う。でも、私は、それでも良かった。みんなが(たの)しんでくれるなら、(しあわ)せになれるなら、どんな(つら)(こと)だって()えられた。いや、いままで何も辛いことなんてなかった。  私は、みんなの笑顔(えがお)をみれることが(なに)よりも(うれ)しかった。(だれ)かが、(たの)しそうにしているのを間近(まじか)()ることが(わたし)(しあわ)せだった。私は、生まれてからずっと幸せだった。  だから、本当(ほんとう)(わたし)()ると笑顔(えがお)友達(ともだち)はいなくなってしまう。それが、とても(かな)しかった。  本当(ほんとう)は、(うそ)なんてつきたくない。それでも、(わたし)(うそ)をつくことでみんなが(わら)ってくれるのなら、(いと)わしい(うそ)(かさ)ねる行為すら出来てしまう。(わたし)は、極力(きょくりょく)嘘をつきたくなかった。  実際(じっさい)(わたし)は、(いや)しい。みんなのためとか()かしながら、自分(じぶん)のために、みんなを(だま)している。  こんな自分(じぶん)(いや)だった。この世界(せかい)において、(わたし)一番(いちばん)(てき)は、自分自身(じぶんじしん)だった。  もし、(うそ)のない(わたし)()()れてくれる(ひと)出会(であ)うことができれば、(わたし)本当(ほんとう)意味(いみ)(しあわ)せになれる。  自分(じぶん)を、(いつわ)って(まわ)りを(だま)して()()れた(しあわ)せなんてあっても仕方(しかた)がないことだってわかっていた。(うそ)がばれた(とき)(きず)つけてしまうのではないと心配(しんぱい)だった。(だれ)かを(きず)つけることが、一番辛(いちばんつら)いことだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加