久しぶりの本音

6/6
前へ
/12ページ
次へ
 今日(きょう)(わたし)は、(へん)だった。あの先輩(せんぱい)(はな)してから、(すこ)(へん)になった。どこが(なん)てよくわからない。ただ、どこか自分(じぶん)じゃないような()がした。いつもだったら、なんてことなくつけていた(うそ)がつけなくなっていた。  きっと、(わたし)は、何度(なんど)(うそ)(かさ)ねてきたから、(うそ)をつけなかったことで、おかしくなってしまったみたいだった。  それでも、先輩(せんぱい)には、あの先輩(せんぱい)だけには、なんの(うそ)もつけなかった。つこうとしていたのに、(くち)からは本音(ほんね)がこぼれていた。  本音(ほんね)(はな)して、(きら)われることが、こわいから(はな)せなかったはずなのに、(はな)しているときに、恐怖(きょうふ)なんて一切(いっさい)なかった。本音(ほんね)なんて()いたくないのに、()わない(ほう)()いのに、()めることが出来(でき)なかった。ただ、もっと(はな)したい、()りたい、()ってほしいと(おも)っていた。  ()をつぶって()ようとしても、(わす)れることが出来(でき)なかった。それくらい、衝撃的(しょうげきてき)出来事(できごと)だった。  (うそ)をつかないってことは、とても気持(きも)ちが()かった。  本当(ほんとう)は、嘘偽(うそいつわ)りのない、自分(じぶん)でいたいそんな気持(きもち)ちが(いま)にも(あふ)れそうだった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加