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帰ってしまおうかと思いながらも、私は結局途中で帰る勇気なんて持ち合わせていなかった。
友達に一緒に行こうと言われたら、断れなかった。仮病を使おうと思って口を開いたとき、他のクラスで入部予定の子たちも加わってきた。私たち、四人であの教室に向かっていた。
「みんな入部するんだよね。」
「うん。」
「そのつもりです。」
「入りますって宣言しちゃったから。」
「だよね。じゃあ、今日の自己紹介ってなに言えばいいんだろう。なに言うか置いておいて、やっぱり恥ずかしいよね。」
「なんか緊張して嫌だよね。」
「わかる。」
「そうかな。これから、一緒に活動する上では大事なことだし。クラスでもやったばっかりだし。そんなに緊張しなくていいんじゃない。」
私は、嘘をついてしまった。みんなと同じ意見なのに、なんで一緒に言えないんだろうと思ってしまった。
みんなは、私のことを「強心臓だね。」、「そのメンタルうらやま。」とか言ってくれた。でも、騙して褒められるのは、恥ずかしかった。
「ねえ、どうやったら、そんな風に考えられるの。」
「どうって言われても難しいけど。万人好かれるのは難しいし、多少は諦めることも大事かなって思うと自然とそうなれるかも。」
「そっか。そうだよね。」
「あんまり、不安だって思わずに、テキトーにやろうよ。」
私は、さらに嘘をついた。この嘘は、自分自身に言い聞かせる言葉でもあった。
もしかしたら、傷つけてしまったかもしれないとも思った。私の発言は、間違っていたのかもしれない。私は、ただもっと明るい顔をしてほしかっただけだったけど、伝わっていないかもしれない。
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