桃色キャンディ

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バスに20分ほど揺られて山の上のキャンプ場に到着した。まず、キャンプ用具一式を借りた。夕飯はホットサンドメーカーにパンとそれぞれの持参の食品を挟んだものだ。 「そろそろできたかな」 「それ聞くの何回目?もともと焼かなくても食べれるものだから多少早くても大丈夫だと思うよ」 「朱音はおなかすいてないの?」 陽花にそう聞かれたが、私に空腹を感じる余裕なんてなかった。私はこれから陽花に告白する。そう考えると他の事は何も考えられなくなりそうだ。 「ううん。」 肯定とも否定とも取れる返事をした。 「朱音。おいしいね」 陽花は私に屈託のない笑顔を向けている。残念ながら私は味を感じる余裕は持ち合わせていなかった。 「うん。おいしい。」 そう言って私は元気なふりをした。陽花は気づくのだろうか。 夕飯後は空がすっかり暗くなったので、陽花が持ってきたクッキーを食べながら私は告白のチャンスを伺っていた。 「陽花ってさ、好きな人とかいるの?」 聞き返されたときに告白できると思って前日から用意しておいたセリフを自然に声に出した。 「何?急に。まぁ夜にJKが一緒にいてする会話なんて恋バナくらいだもんね」 少し驚いた感じではあったものの、勝手に納得してくれた。 「実は私ね、同じクラスの白井君が好きなの」 私は頭の中が真っ白になった。叫びたかった、泣いてわめきたかった。ただ、そんなことをすれば恐らく彼女と一緒にいることすらもかなわないだろう。 「どうした。大丈夫?」 「ちょっとクッキーのどに詰まっちゃって」 手には丸いクッキーがあるにもかかわらず、そんな言い訳を言ってしまった。 「ふわぁぁあぁ、なんか眠くなってきちゃった。もう寝よう。おやすみ。」 私は彼女との話を無理矢理打ち切って寝袋に入った。 寝れるはずもない。彼女も「おやすみ」と言って同じように寝袋に入った。私は眠れるわけもなく一晩中電波の届かないスマートフォンを見て日付が変わり空が明るくなるのを待った。
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