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「呪い?呪いを検知できる能力がおありなのですか」
「まさか」
シュカリオンは鼻で笑う。
「俺はそんな魔法使いみたいなことはできない」
確かに、この国で魔力をもつ者はごく少数に限られていたし、隠れて生きている人がほとんどだった。貴重すぎるため、人に利用されることを怖れて人前に出てこない。
誰もがわかっていることなので、国でも魔力の報告義務はない。一生隠して暮らすことも可能だが、魔力がある者が能力を使って悪事を働けば、一般人より厳罰が下される法律があった。
ラヴィナは生まれてこのかた、魔法を一度も見たことがないが、呪いがあったというなら魔力者が近くにいる可能性が高い。
「ではどうしてわかったのでしょうか」
「呪いを検知できる能力はないが、検知できる機械がある」
「検知器……ですね」
「御名答」
初めて聞く内容だったが、シュカリオンがこもって研究しているというのは、これのためなのかもしれないと思った。
「学校を卒業してからずっと、呪いの研究をしているんだ」
「つまり、私は呪われて高熱を出したと?」
「はっきりとはわからない。そもそも、高熱を出させたくて呪う人なんかいるだろうかと思ってな」
それはそうだ。私を呪い殺したい、というならわかるが、わざわざ熱程度の病気を願う人がいるだろうか。
「何か心当たりはないのか。人に恨まれるような」
ラヴィナはよく考えてから、死に戻る前の話をすることにした。
なぜなら彼は、呪い検知を確信して自分に会いにまで来てくれた人物だ。百パーセント信じなくても、何かを感じ取ってくれるかもしれない。
頭のおかしいやつか、記憶が錯乱しているやつと思われたら、もうあきらめようとラヴィナは思った。
「実は……一回死んだ記憶があるんです」
「死んだ記憶……?」
シュカリオンは眉間にシワを寄せる。
「ベットで目覚める前、私は山で馬に蹴られて、さらに踏まれて死にました。今から……五ヶ月後くらいの話です」
シュカリオンはぽかんと開いた口が塞がらない。
やっぱりか。頭のおかしなやつだと思われているのだろう。
「……何だ、君も死に戻りなんだな?」
「え?」
今確かに、死に戻り、と言った。君も、と確かにそう聞こえた。
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