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ドドド、ドォン、ドドォン!
唐突に温室が爆破され、窓硝子が粉々に砕け散る。
なっ! なああああああああああああああああ!
「殿下!? ──っ、我が声に応えよ、光の盾」
「おお!」
硝子の破片が飛び散り、私たちに降り注ぎつつあったが、聖女エリーの結界によって事なきを得る。いや無事じゃなかったら殺人未遂だわ。それになんてことを!!
温室の価値を知らないにも程があるわ!
沸々と怒りがこみ上げてきたが、リーさんが片手に持っていた魔導具──というか呪物を見て怒りが引っ込んだ。ひぇ、私よりもリーさんがガチでブチ切れているじゃないですか!
そっと袖を掴んで全力で首を横に振ったことで、彼は袖の中に呪物をしまってくれた。よかったわ。
「殿下、お怪我はありませんか?」
「ああ。さすがエリーだ。神々しい光魔法を使って守ってくれるとは!」
「聖女として当然ですわ。それにせっかく殿下が王宮魔導師に命じて温室を粉砕するのですから、私だって役に立つところをお見せしたかったんです」
「素晴らしい! ただの金食い虫とは大違いだよ!」
「ありがとうございます。ねえ、殿下。この温室だった場所は社交場にしましょう。そうすれば今まで以上に国に貢献できますわ」
「そんなことまで考えてくれていたんだね。エリー、君は本当に素晴らしいよ」
「そんなことありませんわ。だって本来なら王妃となられるユティア様の仕事ですもの……。アドルフ様は今までご苦労なさっていたのですね」
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