第7話 今後の方針と流星果実ジェラート・後編

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「今後のことだけれど、世界樹や田畑も作ったし、ここを拠点にしようと思うのだけれど、みんなの意見は?」 「きゅ──」 『家を建てるのなら、あの鯨の大きな骨を使うのはどう? 矮人妖精(ドヴェルグ)なら器用だし、頼んでみたら?』 「あ、そっか。ティーさんとラテさんに、温室を改装するときに手伝って貰ったわね。蒸留酒はあまりないけれど、醸造酒なら葡萄畑を作れば簡単に作れるし……。あとは少し時間が掛かるけれど、後追いで混成酒を渡すとかで交渉しましょう」 『設計はノームに任せれば? ね、ノーム』 『……』  ノームは何度か頷いた後、ジェラートのお代わりを要求された。コームは木材を切ることなら手伝うと言ってくれて、なんとも頼もしいわ。  夢が広がる。ちょっと違うけれど、私のやりたかった自給自足の生活に近づいているはず! 「あ、そうだわ。砂海豹様のお名前! シシンは知っている?」 「きゅ!」 『え、あーうん。知っているけれど……』 「きゅいい! きゅううう」 『えー、自分で言いなよ。あ、言っても分かって貰えないか』 「きゅうううう!!」  シシンと言い争っているけれど、傍から見ていると微笑ましい。 『色狂い(セクスセラビス)でいいんじゃない?』 『クズ(スクーム)』 『放蕩者(バーチュリー)』 「きゅううううう!」  精霊たち特有の言語なので、なんて言っているか分からないけれど、仲良しそうね。砂海豹様は後脚で感情的になっていたが、ふと思前脚を使って文字を書き出した。さすが神獣種、字が書けるなんて……!  ええっと……。  砂漠の砂は柔らかく書かれた文字も読みにくい。かろうじて『リア』と書かれているのが見える。 「砂海豹様、すみません『リア』しか読めないです」 「きゅ! きゅうう……」  へなへなに落ち込む砂海豹様の背中を、そっと撫でる。 「リア様とお呼びするのは、ダメですか?」 「……っ、きゅう」 『いいって』 「まあ! ありがとうございます! リア様」 「きゅう」  リア様に抱きついたら、ジタバタしたが最終的には大人しく抱き返してくれた。  こうして私の怒濤の一日が、終わりを告げる。  砂食い鯨の残った肉はハンバーグと、塩漬けにして一週間寝かせてからベーコンにしましょう。  砂海豹様、リア様の呪いが解けるまで、あるいはある程度元気になるまでは──だけれど。アドリアが世界樹を出現させてくれたから、魔物に襲われることはないだろうし。  モフモフを洗ってあげて一緒に添い寝しよう。美味しい物にモフモフ神獣様を合意的に触れられる! なんて最高なのかしら。これはもう運命ね!
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