第8話 放蕩王、ガリアスの視点1

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 昼も夜も。昼間は二本足で立つこともままならないし、両手も上手く動かせない。匍匐前進であてもなく進み続けた。死の砂漠は魔力を常に奪っていく。  この命が尽きるまで誰にも会わず、恋が分からないまま朽ちていくのだろうか?  そもそも恋とは、心が揺れ動くだけで選んでは駄目なのだろうか?  愛とは、どういう気持ちなのだろう?  考えても、やっぱりわからない。  私は神としても、人としてもどちらにも染まれないのかもしれない。  黄金の美しい髪と、翡翠色の瞳を持つ少女。まるで禁断の果実と出会ったような──運命を感じた。  ***  彼女と出会って、一カ月があっという間に経った。  毎日が驚きの連続で、楽しくて──満たされるという感覚は、このようなものなのか。  あの子の傍にいると、胸が温かくなる。  あの子が他の妖精や精霊と仲が良いと気分が悪い。モヤモヤもする。  ああ、一カ月長かった。  世界樹の加護のおかげで、魔力を奪われずに蓄積することができたのだから。 「はあ」  満月は魔力を増幅させる効果がある。それにより一時的に、呪いを緩和させることに成功した。これでようやく人間らしい立ち振る舞いができるし、魔法も使える。  手の痺れも薄れて、自由に動くのを確認してから体を起こした。 「むにゃ……」 「この時代の子は、意外と積極的なのですね」  初対面でありながら寝床で同衾を望むとは些か面食らったが、添い寝だけなのだから、まだまだ子供なのだろう。寝顔はより幼く見える。しかしモフモフと、私の藻のようなもさもさの髪を好いているとは変わっている。  魔術で編んでいるので、清浄魔法とふわふわな感じはあるだろうが、少し──いや大分変わっているのかもしれない。なにせあの魔物種を食そうというのだから。
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