第8話 放蕩王、ガリアスの視点1

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 それともここ千年の間に、生態系が崩れて食糧難なのだろうか。死の砂漠で他の人間に会うことなど一度もなかったので、情報が少ない。  ひとまず藻のような髪はもう少し編み込みを入れて、ボリュームを落とそう。  それとズタボロな外套や衣服を、新品同然に魔法で編み直した。  王族らしい金のアクセサリーは変わらず月の下で煌めき、白を基調とした絹の服は着心地も良い。腰の帯も緋色と金をあてがう。金と銀をふんだんに使った刺繍も悪くない。これで少しはマシな姿になったと満足する。  それにしても、こんな風に隣で眠るだけというのはいつぶり?  いや初めてだろうか。  この子は、私の何に惹かれたのだろう。  藻のような白髪の髪? ふわふわぐあい?  今までは私の容姿や地位などで、好意を寄せる者が多かったから新鮮だな。  もしや滲み出る私の美しさと、気品が隠しきれなかった?  寝る時も恥じらいもなく同衾を許すのだから、相当惚れ込んでいるのは間違いない。体を洗われた時は驚いたけれど、これが愛ゆえの献身というやつなのか?  あのブラッシングは心地よかった……。  どうしてだろう。  誰かに触れられるのは嫌いではなかったけれど、この子に抱きしめられると胸がぎゅうぎゅうに締め付けられるし、他の者と話しているとなんだか面白くない。その気持ちが消えると思ったのに、胸の中で燻ったままだ。  あの子の笑顔を見ると、叫びたくなるのも可笑しい。  久し振りに人に会ったから?  私の寵愛を望むのなら、19人目の妻にしてもいい。顔は中の中だが、笑顔は悪くなかったし、気が利く上に料理が美味い。  隣で眠っている彼女の頬に触れると、温かくて肌に吸い付く。  温かい。  なんだろう、安心する。  こういう時、女はキスをすると喜んでいた。そう思い距離を詰めようとした瞬間、テントの外の威圧が膨れ上がった。  なんとも、無粋ではないだろうか。
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