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私の心を大きく揺らした。目まぐるしく巻き起こる変化、見たことのない景色を見せてくれる。可愛らしくも大胆な子だ。今まで妻に迎えてきた女性とはなにかが違う。なにより──うん、気付くと彼女のことを考えてしまう。
そういえば名前は……なんだったか。
仕事以外で誰かの名前を覚えないのも、問題だったか?……よく考えたら、今まで妻たちの特徴は思い出せても、名前は覚えていなかったな。困っていなかったし。
「シルクニフパラディーン。あの子の名前は、なんていうんだい?」
「へぇ……。仕事以外で名前を覚えるくらいには、成長したのか」
「……私の呪いを解いてくれる恩人の名前が分からないなんて、失礼だろう」
「本当に君って恋愛関係を除くとしっかりして真面目だし、いい王ではあるんだけどねぇ。恋愛関係だけはどう考えても、クズだからなぁ」
「それは褒めているのだろうか?」
「一応? まあ、ボクがいたからユティアとの運命の導きに、君の魔術的な要素は触れたのかもしれないけれど……どう結末になるのか少し興味が湧いた」
「酷い言われようだ」
「……ガリアス、ボクたちの愛し子の名前はユティアだよ。君でもあの子を泣かせたら、許さないからね」
「……ユティア」
名前を呼んだだけなのに、胸がじんわりと温かくなるような満足感が生じた。魔力が満ちるような心地よさ。
これも……料理の力なのだろうか?
心臓の音も酷くなっていく。
早く呪いを弱めて、意思疎通ができるようになりたい。けれど呪いが解けたら、ユティアはこの土地からいなくなってしまうのだろうか。
そう思うと、胸が酷く痛んだ。
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