第11話 ふわふわ幻想パンケーキにかけるものは?・後編

3/4
前へ
/143ページ
次へ
 テントというか、もはやコテージ並の広さなのだけれどね。  そんなテントの中は甘い香りでいっぱいだ。サッパリする紅茶を用意して、こちらもお好みでミルクや砂糖を用意しておいた。  みなそれぞれにトッピングを盛り付けて、思い思いに食べている。既にシシンとディーネが、パンケーキにかけるものについての論争を展開させていた。  微笑ましい……。 『黒蜜なんて地味じゃない。なんでそんなマニアックが良いのかしら? ジェラートとパンケーキの相性は最高なのに!』 『ディーネ、押しつけはやめて欲しいんだけど! このふわふわのパンケーキの甘さ控えめなところに、黒蜜という最高級のシロップをかけることで、パンケーキは完成するんだよ。君こそこの組み合わせを食べてみるべきだ』 『ちょっと待って下さい。それならこの生クリームこそ至上。断然生クリームとパンケーキが一番ですわ』 『ググッ。ベリージャムの酸味がパンケーキにとって一番良い』 『…………カスタードクリーム』 「きゅうきゅ……きゅうきゅい。きぃいいきゅうきゅ」 『言語化に失敗しました』 『全部のせとか、最悪だわ』 『そうそう! パフェならまだしも!』 『ググ、節操ないのは、女だけではないようだ』 『強欲だね、君は』 「きゅうう!」  リア様は涙目になりながら、ショックでナイフとフォークを落とした。風魔法の応用でナイフとフォークを使いこなすことを習得したらしいが、ショックを受けるとあっさりと魔法が解けてしまうらしい。 「きゅう……」 『ゆてぃあ……』 「ふふっ、落としてしまったのですね。はい、新しいのですよ。みんなもどれも美味しいですけれど、それを押しつけたら駄目です。喧嘩や言い合いが増えるのなら──トッピング禁止令を出しちゃいますけど、いいですか?」
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

520人が本棚に入れています
本棚に追加