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テントというか、もはやコテージ並の広さなのだけれどね。
そんなテントの中は甘い香りでいっぱいだ。サッパリする紅茶を用意して、こちらもお好みでミルクや砂糖を用意しておいた。
みなそれぞれにトッピングを盛り付けて、思い思いに食べている。既にシシンとディーネが、パンケーキにかけるものについての論争を展開させていた。
微笑ましい……。
『黒蜜なんて地味じゃない。なんでそんなマニアックが良いのかしら? ジェラートとパンケーキの相性は最高なのに!』
『ディーネ、押しつけはやめて欲しいんだけど! このふわふわのパンケーキの甘さ控えめなところに、黒蜜という最高級のシロップをかけることで、パンケーキは完成するんだよ。君こそこの組み合わせを食べてみるべきだ』
『ちょっと待って下さい。それならこの生クリームこそ至上。断然生クリームとパンケーキが一番ですわ』
『ググッ。ベリージャムの酸味がパンケーキにとって一番良い』
『…………カスタードクリーム』
「きゅうきゅ……きゅうきゅい。きぃいいきゅうきゅ」
『言語化に失敗しました』
『全部のせとか、最悪だわ』
『そうそう! パフェならまだしも!』
『ググ、節操ないのは、女だけではないようだ』
『強欲だね、君は』
「きゅうう!」
リア様は涙目になりながら、ショックでナイフとフォークを落とした。風魔法の応用でナイフとフォークを使いこなすことを習得したらしいが、ショックを受けるとあっさりと魔法が解けてしまうらしい。
「きゅう……」
『ゆてぃあ……』
「ふふっ、落としてしまったのですね。はい、新しいのですよ。みんなもどれも美味しいですけれど、それを押しつけたら駄目です。喧嘩や言い合いが増えるのなら──トッピング禁止令を出しちゃいますけど、いいですか?」
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