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「ようやく君と会話ができる。私を助けてくれてありがとう。あの祝福の塩檸檬水はとても美味しかった。特に蜂蜜の甘さと若干の塩っ気がいいし、あれで気力体力魔力ともに回復の兆しをみせたからね。そのあとの砂食い鯨を調理するなんて言い出した時は心底驚いたよ。魔物種を食べようなんて人間がいるとは思わなかったからね。だって毒をもつ凶悪な魔物だよ? それを君は平然と料理に仕上げてしまったのだから、驚いたし、何より私を守ろうとしてくれたとことが嬉しかった。これでも私は強いし、誰かに守られるなんて初めての体験だったんだ。君の料理のしている姿は凜として素敵だし、こっちも楽しくなる。血抜きも毒袋の摘出も素晴らしかったし、あの砂食い鯨のソテーは見事だった! でも一番気に入ったのは、様々な野菜が調和して塩気と香辛料の深みある味わいのスープ! 今まで食べたことがない。流星果実ジェラートだってそうだ! ピザ、ベーコン、ハンバーグ、からあげ……今日のふわふわの幻想パンケーキも、ああ、言いたいことがいっぱいあるのに、上手く言葉がでてこない……! なんてもどかしいんだ。君にとっては普通かもしれないけれど、その料理方法や発想、精霊に愛されて、共に食事を作る姿をずっと見ていたい! こんな気持ちになったのは初めてなんだ。どうか私と結婚して欲しい」
「ふぇ、え、えええ!?」
とんでもない早口で捲し立てていたけれど、話を整理すると……。
もしかしなくてもリア様!?
神獣種って、人型にもなれるってこと!?
し、しかも結婚?
情報量が多すぎて困惑してしまう。なによりも唐突なプロポーズだ。困惑するのも無理はないと思う。思わずシシンに目で助けを求める。
「シシン、どうなっているの!?」
『んー、あ、それはね……』
「シシンではなく、私の名前を先に呼んでほしい。……駄目だろうか」
「──っ」
しゅんとする姿は、砂海豹の落ち込んだ姿が脳裏に浮かんだ。男の人なのになんだか可愛い。私よりもずっと大人なのに。
「リア様」
「はい。……ユティア、ユティア、ユティア」
なんて甘い声で囁くの!?
こんな情熱的に口説かれたことなんてなかったから、対処がわからない!
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