プロローグ

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 ディノス(獣脚類ディノサウルスが収斂進化したヒューマノイドでディノサウロイド)だ。 「ディノスを食して意識と精神がディノスになっていたヒューマは、全て元のディノスに戻りました。今後、ディノスは細胞融合できません。  ディノスを4D映像探査(素粒子信号時空間転移伝播探査)した結果、デロス帝国の地質学者が宇宙艦で、この惑星ガイア侵攻しました」  ヘリオス星系惑星ガイアの神殿で、巨大電脳意識・神場は、ディノスの侵攻の波動残渣(時空間構成粒子の経時変化)を4D映像探査し、ディノスの侵攻状況を分析した。  4D映像探査は、素粒子信号時空間転移伝播探査によって、波動残渣を探り、過去に生じた現象を再現する。時空間構成粒子の変化が時空間から亜空間へ連続する限り、探査と空間現象の再現が可能だ。  弾鉄(ヒューマ・人)は、『今後、ディノスは細胞融合できない』と言う、神場の説明を聞きたかった。  弾鉄の心の思考を感知し、神場のアバター・髪の長い古代の女戦士の神場が神場本体の前に現われて、倒れて息絶えたディノスの負弦を指差した。 「負弦のデロス帝国での名はオイゲンです。デロス帝国の特殊工作員でした。  軍事行動しませんが、諜報活動として細胞融合の特殊手段を講じていましたが、今後は細胞融合できぬよう、先ほど私・神場が4D探査波で、この惑星ガイアに棲息するヒューマの細胞分子記憶領域に、ディノスとは相容れぬ遺伝情報を組み入れました。これによって、ディノスとの交配はおろか、ディノスを食した場合の細胞融合も不可能です」  弾鉄は訊く。 「このオイゲンを食っても、他の動物を食った場合と同じか?」 「そうです。モア(惑星ガイア最大の鳥類)を食しても、ヒューマがモアに変異しないのと同じです」 「わかった。デロス帝国の地質学者の侵攻をどうやって食い止めればいいか?」  神場は探査ディスプレイに映るデロス帝国の惑星地質調査艦を示して言った。 「デロス帝国の特殊工作員は、私が、ヒューマ細胞の分子記憶領域に、ディノスとは相容れぬ遺伝情報を組み入れた事を知りません。  オイゲン同様、特殊工作員のディノスは、ヒューマの身体を乗っ取るためにヒューマに食されるのを望みますが、それは不可能になりました。  ヒューマの種が繁栄するよう、ディノスを食してください。ディノスをヒューマノイドとは考えずに、ヒューマノイドのような獣脚類と考えれば良いのです。  今後、次々にデロス帝国の特殊工作員を乗せた惑星地質調査艦が飛来します。  彼らはヒューマに食されるのを望みます!ヒューマの食糧は尽きません!」  髪の長い古代の女戦士の神場は力強くそう言った。 「奴らが『ヒューマに食われても身体を乗っ取れない』と気づいたら、どうすればいい?」 「一人のディノスにAIを組み入れ、他のディノスを統率させましょう」  神場は弾鉄を見て微笑んだ。  その後、弾鉄と神場は、侵攻してきたデロス帝国の惑星地質調査艦から情報を集め、巨大電脳意識・神場の機能で、デロス帝国の母星(デロス星系惑星惑星ダイナス)の刑務所から一人のディノスを、惑星ガイアの神場の神殿に時空間転送捕獲し、麻酔薬を首の皮下へ圧入した。だが、転送捕獲したのはラプト(ヴェロキラプトルが収斂進化したヒューマノイド、ラプトロイド)だった。  弾鉄は神殿の一画の尋問用の椅子にラプトを座らせて拘束し、椅子に装備されているマニピュレーターを使ってラプトの首筋に自白剤を注入した。  アバターの神場・髪の長い古代女戦士が尋問した。 「なぜ、ラプトのお前がデロス帝国の刑務所にいるのだ?」  デロス帝国の首都オータホル近郊の刑務所に収監されるのはディノスだけだ。 「紛れたんじゃない。俺はデロス帝国が侵攻する上で重要人物なので収監された。  帝国はリブライト星系のリブラン王国に侵攻し、グリーズ星系のグリーゼ国家連邦共和国へ侵攻しつつある。今後、帝国はオリオン国家連邦共和国のヘリオス星系惑星ガイアに侵攻し、今まで惑星ガイアに行なった偵察的侵攻ではなく、新たな侵攻作戦を実行する」 「どういう作戦だ?」 「ヒューマはディノスを餌だと思っている。ヒューマに食われれば、ディノスはヒューマの身体を乗っ取れる」  神場が弾鉄に目配せした。弾鉄は神場の指示を受けて尋問を引き継いだ。 「お前、名は何という?」 「ダリウス・デス・ダイナスだ」  神場が次ぎの指示を目配せした。弾鉄はマニピュレーターを使ってダリウス・デス・ダイナスに麻酔剤を注入した。神場が尋問用の椅子を操作した。  椅子から四本のマニピュレーターが出た。三本のマニピュレーターがダリウス・デス・ダイナスの頭部を固定し、一本のマニピュレーターが触手を伸してダリウスの頭部に、AIのナノチップを何個も挿入した。
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